隈部正博先生の本「数学基礎論」を読んでいて、「互いに素」という概念が出てきたので、ちょっと忘れかけていたこともあり、ネットで「互いに素」で検索してみた。2〜3のサイトを読んだ中の1つに次のような記載があった。(引用は自由との事なので引用する。そうでなくても引用してしまうのが当方ではあるが。)
互いに素な数の性質
互いに素な数については,次のような性質がある.
a,b が互いに素であるとき,
bc が a で割り切れるならば, c が a で割り切れる.
が成り立つ.ただし, c は整数である.
【証明】
a と b は互いに素であるから,最大公約数と最小公倍数の積より, a と b の最小公倍数は ab である.
bc は b の倍数であり,仮定より a の倍数でもあるから, ab の公倍数である.
公倍数は最小公倍数の倍数より, bc は ab の公倍数である.
すなわち,適当な整数 m を使って
bc=abm
と表せる.この両辺を b で割って, c=am ,すなわち c は a で割り切れる.
上記証明の2行目と3行目で同じことが言われている(重複している)ので、「おかしいな?」と思った。そして、4行目以下を読んでみて、3行目はもしかすると次の記述が正しいのではないかと思った。
公倍数は最小公倍数の倍数より、bc は ab の倍数である.
この時点で、数学が得意な関西の友人に訊いてみた。話をしているうちに、3行目をすぐ上のように訂正したとしても、1行目・2行目と3行目の整合性がないことに当方気づいた。そうこうするうちに、友人が、「公倍数という以上、2つ以上の数字でなければならないのに、「ab の公倍数」という表現自体おかしい」と言ったので、当方「だよねえ」と言いながら、2行目の「abの公倍数」を「a と b の公倍数」と訂正すれば、万事上手くいくことに気づいた。とどのつまり、正しいと思われる証明は、次のとおり。
当方が訂正した【証明】(訂正部分を赤で示す)
a と b は互いに素であるから,最大公約数と最小公倍数の積より, a と b の最小公倍数は ab である.
[補足説明]「整数 a と b の最大公約数を G ,最小公倍数を L とすると ab = GL が成り立つ.」を前提している(証明は省略)。ここで、a と b は互いに素であるから a と b の最大公約数 G は1である。よって ab = L である。すなわち a と b の最小公倍数 L は、ab である。
bc は b の倍数であり,仮定より a の倍数でもあるから, a と b の公倍数である.
公倍数は最小公倍数の倍数より, bc (a と b の公倍数)は ab (a と b の最小公倍数)の倍数である.
[補足説明]「公倍数は最小公倍数の倍数」についても証明があるようだが、ちょっと面倒なので、ここでは「定理」として認めてしまい、証明を省略させていただきました。
すなわち,適当な整数 m を使って
bc=abm
と表せる.この両辺を b で割って, c=am ,すなわち c は a で割り切れる.
証明終わり
はてさて、これでいいんだろうか。初心者の当方には自信がない。
まあ、元の証明が間違っているとして、それも「あるがまま」、当方が元の証明を訂正したことも「あるがまま」、間違っていたことに気づいた元のサイトが今後訂正したとしても「あるがまま」、当方の訂正した証明がもし間違っていたとしても「あるがまま」なので、とどのつまりは「どうでもいい」のであるが、もし元の証明が間違っていたことが判明したならば、単なる誤植とは違う間違いと思われるので、ちょっと困ったことではある。所詮、フリーのサイトの記述だからそもそも信用できない、と言われればそれまでだが。
もっとも、「あらゆる間違いを訂正すれば全ては明るい」とも言えない。
20年ほど前に遡る。当方、当時キャバクラ通いをしていて、保奈美ちゃんが自由が丘の「Lクラブ」から銀座の「あんみつ姫」に移ったので、当方も「あんみつ姫」の客になり、そこのママとも仲良くなった。
ある日、会計の請求書を見て、当方、ママに、「こんなに何本も水を飲んでないよ」と大幅に水増しされた水割り用の水のボトル数にイチャモンを付けた(これがホントの水増し)。すると、気を悪くしたママは、「お代は結構です」と言った。当方、「いや、ちゃんと訂正してくれれば、キチンと払うから」と言って、何とか訂正してもらって支払った。そんなことがあっても、能天気な当方は、その後も「あんみつ姫」に通った。
今になって思えば、普通は、保奈美ちゃんの客として来ているわけだから、保奈美ちゃんにも恥を掻かしたことになるわけで、そこは黙って払って帰るのが通常の振舞いだったかと思っている。もっとも、保奈美ちゃんは、夜の世界で世慣れてはいたけれど、ストレートで一本気なところもあったから(ちなみに、彼女は17年後にキックボクシングの全日本チャンピオンになっている)、特段気にもしなかったかもしれない。でも、常識的には、そもそも飲み屋で請求書の詳細を確認したりしないし、もし見てしまったとしても黙って払って帰るのが普通だろう。
というわけで、何でもかんでも、間違っているからといって訂正すればいいというものでもない。
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