ピロリ菌については全く触れないか触れてもほんの少しだけという胃腸関係の書物もある一方で、ピロリ菌学会を中心に「ピロリ菌の除菌はもはや常識」とする学者や医者もかなり増えてきているようです。現在の中年から高齢者の半分以上の体内にピロリ菌が居るわけなので、ピロリ菌保菌者が全て胃がんになるわけでは勿論なく、保菌者のせいぜい1%程度が胃がんになるだけのようですが、一方で、最初からピロリ菌の居ない人は通常の胃がんにはならないというデータもあり、ほとんどの胃がんはピロリ菌が原因であるとする説も有力になりつつあるようです。
はてさて、当方このたび、ようやく「薬剤によるピロリ菌の除菌の試み」に踏み切りました。まずは直近の経緯を述べます。
■ 市の人間ドック(検査日/2011年9月24日)
総合評価
◎12年前に比べて体重が増加(10.2kg)しています。減量しましょう。
◎血圧がやや高め(軽症高血圧)です。軽い運動を始めると同時に塩分の少ない食事を摂るように気をつけましょう。時々血圧を測ってください。
◎脂質に異常があります。食事や運動に注意して、3ヶ月後かかりつけ医または内科(開業医)で再検査を受けてください。
◎肝機能に異常かあります。再検査を受けてください。
◎胃がんリスク検診の結果、あなたの胃は長年のピロリ菌感染の影響で胃粘膜の萎縮が進行し、胃がんの高リスク群にあります。内視鏡検査を受けることをお勧めします。今後も定期的に胃がん検診を受けて下さい。さらに、2年に一度は内視鏡検査を受けることをお勧めします。
◎上部消化管X線検査(胃)に異常所見があります。必ず内視鏡検査(胃カメラ)を受けてください。
◎腹部超音波検査の結果、脂肪肝です。
◎尿の定性反応に異常があります。再検査を受けてください。
◎動脈硬化症・高血圧性の初期眼底変化があります。日常生活に気をつけてください。
以上が人間ドックの所見でした。
まず、胃以外の所見に対して、当方の感想を述べます。
体重の増加は火を見るよりも明らかです。これは別途対応しなければならない課題です。血圧は、そのときによってかなりの増減がありますが、総じて高め、特に下の血圧が高めです。これについては、体重を落とすことでたぶん改善されるのではないかと想像します。脂質の異常というのは、中性脂肪値が標準値をオーバーしていることを指します。これも体重の減量によって改善されると想像します。ただ、12年前の今より10kg痩せいてた時点でも中性脂肪値は既にある程度オーバーしていたので、今から10kg痩せたからといって正常値にまで戻るかどうかは予断を許しません。肝機能は、いつも異常値です。AST(GOT)やALT(GPT)やγ−GTPが12年前も現在も、いつ測っても、ややオーバーしています。脂肪肝と以前から言われて久しいですが、肝機能の数値もまた体重の減量によって改善するかもしれません。今回新たに注目すべきは、尿の潜血反応があったので、今後ちょっと心掛けておかなければなりません。近いうちに再検査を受けるべきでしょう。動脈硬化と高血圧から来る初期眼底変化も今後心掛けておきたいと思います。
さて、次に本題である胃の所見に対して、当方の感想を述べます。
上記「総合評価」の中の「胃がんのリスク検診」というのは、「ペプシノーゲン検査」のことで、胃の萎縮度を想定するのに適していると言われています。この検査は、まだあまり知られていない検査ではありますが、ピロリ菌が原因と想定される「胃の萎縮度」を知る比較的精度の高い検査とされており、徐々に普及しつつある検査です。胃の内視鏡検査(胃カメラ)の前段階の検査としては、被曝を伴う胃のX線検査を止めて、「ピロリ菌検査+ペプシノーゲン検査」で代替するほうが良いとする説もありますし、現にそのように切り替えている機関もあるようです。
ペプシノーゲン検査は、当方居住の市の人間ドックにはオプションとして存在しますので、幾らかの別途の費用を伴いますが、これまでの経緯で「ピロリ菌保菌者」とほぼ確定している当方としては、そして去年末に行った内視鏡検査で慢性胃炎と診断され、胃の写真を見るにつけかなり荒れている当方としては、ペプシノーゲン検査を受けるべきと判断しました。案の定というか、結果は上記のごとく「◎胃がんリスク検診の結果、あなたの胃は長年のピロリ菌感染の影響で胃粘膜の萎縮が進行し、胃がんの高リスク群にあります。内視鏡検査を受けることをお勧めします。今後も定期的に胃がん検診を受けて下さい。さらに、2年に一度は内視鏡検査を受けることをお勧めします。」と相成ったわけであります。
■ 今年も内視鏡検査と迅速ウレアーゼ検査を受ける。(検査日/2011年11月10日)
言われなくても既に定期的に内視鏡検査(胃カメラ)を受けることにしている当方は、去年末にネットで探して内視鏡検査と迅速ウレアーゼ検査(ピロリ菌検査の一つ)をやってもらった開業医のところで今年もやってもらいました。結果を写真で見ると、胃壁は素人目には去年よりややマシな状態に見えましたが去年同様デコボコしていることに変わりはありませんでした。胃がんの組織検査は陰性とのことでした。そして勿論、迅速ウレアーゼ検査でピロリ菌は陽性でした。当方結局、ピロリ菌検査は合わせて6回受け、全て陽性でした。即ち、血液検査で2回、迅速ウレアーゼ検査で2回、尿素呼気検査で2回、全て陽性でした。
その開業医は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の場合はピロリ菌の除菌をお勧めするけれど、胃がんの予防という意味では患者さんに任せているとのことでした。ただ、どちらかと言えばお勧めするとのことでした。妹からも「さっさと除菌すれば?!」と言われているのに往生際の悪い当方は「除菌する方向で考えますが、決めたらまた来ます」と相変わらずの、良く言えば慎重、悪く言えば優柔不断さを発揮してしまいました。ちなみに妹の娘(当方の姪)は看護士で、以前勤務していた医院では「ピロリ菌保菌者は基本、全て除菌対象」だったそうです。
■ ピロリ菌除菌薬を処方してもらう。(処方日/2011年11月21日)
それからしばらくして意を決した当方は、長年連れ添ったピロリ菌には悪いけど(記事「動物愛護に関する考察」を参照)、除菌を試みるべく薬を処方してもらいました。
■ 薬をもらってからさらに2週間ほど思案した後、1週間服薬。
(服薬期間/2011年12月6日〜2011年12月12日、1日2回服薬)
ピロリ除菌薬「ランサップ400」1日分↓
服薬中は、当方の場合、最初の2〜3日は、若干のいつもとやや違う軽い症状(舌の苦味など)がありましたが、それからは特に副作用というほどのものは全くといっていいほどありませんでした。とは言え、除菌成功の暁には、いままで数十年間体内に居たピロリ菌が居なくなるわけですから、その環境の変化が何らかのさらなる変化をもたらす可能性はあるわけで、用心怠りなく心掛けておかなければならないでしょう。(とりあえず当方、思いつきですが、除菌薬の抗生物質により腸内善玉菌が減ってしまったことを勝手に想定して、2011年12月28日よりファンケルの「ナチュラビオ」という健康食品をしばらく摂ることにいたしました)
服薬後4週間空けてから尿素呼気検査で除菌できたかどうかを調べます。情報によると、2ヵ月か3ヵ月空けたほうが確実という話もあり、遅くなる分には問題ないので、そうしようと思います。2月か3月には除菌の成否をお伝えできるかと存じます。除菌に失敗した場合の二次除菌については、またそのときに考えます。
追記
尿素呼気検査は、4月以降にずれ込みそうです。結果はもうしばらくお待ちください。
なになに、「いつも『あるがまま、どうでもいい、よろしかろう』を標榜している君が、たかがピロリ菌なんぞで、そこまですったもんだするのは変じゃないか。それこそ、『あるがまま、どうでもいい、よろしかろう』事案ではないのか。」って? それに対する当方のあり得る唯一の答えは、「ピロリ菌ですったもんだすることも含めて『あるがまま、どうでもいい、よろしかろう』ということで・・・」となります。そして、「そんなんじゃ、『あるがまま、どうでもいい、よろしかろう』は、何事も語っていないことになる。何も言わなくても何ら変わりないじゃないか」って? それに対しては当方、「御意!」と申し上げるしかありません。もしかしたら、お経のようなものかもしれませんね。或いは、『あるがまま、どうでもいい、よろしかろう』という言葉自体も『あるがまま、どうでもいい、よろししかろう』と。トートロジーは、何事も語らず、ただ何事かを示すのみと。This is Itと。或いは、This is Thisと。この世の全てのことがそうですけど。
当方お勧めのピロリ菌に関する書籍
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※ピロリ菌の「検査」や「除菌」の保険適用については決まりがありますが、それは必ずしも杓子定規というわけではありません。内情はよくわかりませんが、「訊いてみるもんだねー」という部分もありますので、倹約したい人は前もって調べてからのほうがいいでしょう。当方の「ピロリ菌を考える」の記事の中にもヒントとなる部分はありますので読んでみてください。